前回(2025年12月17日付投稿)に続いて、Tさん(仮称)というフリーライターの方が書かれた『成功法則』をテーマにする新書の内容をもとに「成功法則を実行しているのだけれど思うような結果が出ない」という典型的な事例を取り上げて、「成功法則を実践しているのに、なぜ思うような結果が出ないのか?」という理由を探っていきたいと思います。
なお、本稿はあくまで私個人の視点にもとづくものであり、どちらが正しいか?ということを論じるつもりはまったくありません。あらためて、私たちに良い学びの機会を提供してくださったTさんには心より感謝したいと思います。また、Tさんの優れた見識に、あらためて深い敬意を表します。
なお、前回の投稿(2025年12月17日付)から少し時間が経ってしまいました。申し訳ありません。
Tさんが結果が出せなかった明白な理由
さて、Tさんは、伝説の大富豪アンドリュー・カーネギーや、カーネギーの門下であり成功哲学の祖とも言われるナポレオン・ヒルの著書をもとに「成功哲学」を実践された経験はあるようですが、「何度か試してみたことはあるものの、満足のいく結果を得たことはない」と告白しておられます。「私が思い描いたことがかなっていれば、とっくに億万長者になっていたはずだ」とも書いています。その理由は明白です。「成功哲学」の大事な“キモ”の部分を信じていないからです。
生兵法は大怪我の基
プラスイメージ成功法・基礎編(2)でも書きましたが「潜在意識を味方にして、プラスイメージ成功法の原理・原則を信念化する」ことは重要なポイントです。逆に、半信半疑で実行することは逆効果以外の何ものでもありません。知らず知らずのうちに、内なる無力感、無価値観、不足感を宇宙にアピールし続けるようなものだからです。まさに「生兵法は大怪我の基1」です。
Tさんは、成功哲学の原則である「思考は現実化する」「強く願えば思いはかなう」「信じることが成功のもと」という大前提を、著書の中で「そんなバカな!」「そんなことはあるわけないだろう」と一刀両断に否定してしまっています。これでは100%上手くいくわけがありません。一方で、「そんなことがあったらいいだろうな、という思いがないわけではない」とも書いています。この中途半端さが「思うように結果が出ない」と嘆く人の中には多いのでは?と、残念でなりません。
宝くじを買うときの心理
話題は脱線しますが、Tさんは宝くじについても書いています。
実は私も、若かりし頃、仕事に行き詰まり、上司ともそりが合わず「仕事を辞めたい」と思いながらも「家庭があるので軽率なことはできない・・・」と悩み、その挙句、一発大逆転の宝くじに賭けたこともありました。しかし、その頃の心理を冷静に分析すると、宝くじに賭ける心理の裏側には、やはり内なる、根深い不足感、無力感があったように思います。しかも、宝くじを買うときは「ぜったい当たる!」と意気揚々と売り場に向かうものの、心のどこかに「でも、やっぱり当たらないよなぁ・・・」という弱気な気持ちがあったように思います。それじゃあ億万長者は無理だよね、やっぱり^^;
Tさんは確率論にも通じておられ「宝くじを買い続ければ確率的に必ず損をする」と書いています。しかし、それでも宝くじを買ってしまう自己矛盾を抱えておられ、とても親近感を覚えます。宝くじは「夢を買うもの」と割り切ってしまえば良いのかもしれませんね。有馬記念と同じです^^
しかし、夢は、あくまでも時間軸という幻想の延長上にあるものです。幻想の中に生きるのではなく、もし、至福感に満たされた「永遠の今」に気づけば、無限の豊かさは、すでに私たちの中にあるのです。一方で「幻想の中の夢」、たとえば有馬記念に賭ける多くの人たちの夢を、私は、心底大事にしたいと思いも変わりません。そこには、敢えて三次元、物理次元に生きることを選んだ、私たち人間の深淵な秘密が隠されているようにも思います。
成功法則と量子論
閑話休題です。私たちスピリチュアリストは、ともすれば「スピリチュアルは非科学的だ!」という批判にさらされ、居心地の悪さを感じることが間々あります。その点、1973年のノーベル物理学賞受賞者で、ときに異端という名のもとに謂れのない批判を受けるブライアン・D・ジョセフソン教授をはじめ、量子論を極める学者の中には、科学的な裏付けを持ちながらスピリチュアルな視点で宇宙の森羅万象を解き明かそうとする有為の頭脳がおられ、それは、スピリチュアリストにとってとても心強い味方です。
その中のお一人に、ジョセフソン教授の門下でもある滋賀県立大学先端工学研究院教授の物理学者・奥健夫先生がいらっしゃいます。奥先生のご著書『成功法則は科学的に証明できるのか?』(総合法令出版)では、成功法則のみならず量子論についても、私たちのような素人にとてもわかりやすく解説してくださっていますので、近々、あらためて項を割いてご紹介したいと思います。
ところで、Tさんは本の中で量子論についてもふれていますので、成功法則と量子論の親和性については意識されているようですが、残念ながら、ここでも「思考は現実化する」という成功法則の原則を、オカルトやSFとして切り捨てしまっています。これは一般論ですが、不確かな「科学的視点」を絶対的なものとして物事を見ると、真理は背を向けてしまうように思います。
一方で、滋賀県立大学の奥先生は、『成功法則は科学的に証明できるのか?』の中(p.2)で、
現代科学は完全ではありません。わかっていることはごく一部なのです。
と書いておられます。こうした謙虚さこそが一流の一流たる所以だと思います。頭を垂れ、私自身もそうありたいと願います。近い将来、ジョセフソン教授や奥先生のような有為な科学者の頭脳によって、成功法則の正当性が、真に“科学的”な視点から解き明かされることを確信します。
「おめでたい人」の思考は現実化する
頭で考えようとすると、どうしても左脳の声が強くなり、逆に真理からは遠ざかってしまうことがあるように思います。物理次元を生きていく上で、もちろん左脳の声はとても役に立つものです。しかし、一方で、自身のことを振り返ってみると、頭(左脳)で論理的に考えた(つもりの)ことは間違っていることも多いように思います。そうした経験からも、左脳に偏らず、左右バランス良く、直感を信じ、思い切って行動に移すタイプの人の方が、より成功に近いところにいるように感じます。
その意味で、精神科医の和田秀樹さんが書かれた『「おめでたい人」の思考は現実化する』(小学館新書)という本はたいへん参考になりました。以下はその中からの引用です。
ジョブズも孫正義氏も、スゴいことを成し遂げるのはみな「おめでたい人」だった。<中略> 格差が広がる日本で、挑戦する喜びよりリスクを回避する安心を選ぶ人が大多数に。行動さえすれば手に入るものは多いはずなのに、失敗を恐れるあまりチャンスを逃してしまうことが問題で、これでは国力も落ちて当然。そんな状況を打破できるのは、「考えても仕方ないことは考えない」「まず行動してみる」(いい意味で)おめでたい思考パターンを持つ人たち。(同著、扉より)
と、和田さんは同書の中で“誰もが幸せになる「おめでた思考」のススメ”を説いています。
まとめ
さて、2回にわたって書いてきた「思うように結果が出ない!?」のポイントをまとめることにいたします。
ポイント1:不足感を手放し、今ある豊かさに気づく
(1)でも書いたように、内なる潜在的な「不足感」は成功の実現を妨げる大きなカベになります。まずは、それに気づいて手放すこと。それが第一歩です。
そして「今、ここにあるもの」「今、この瞬間に持っているもの」に感謝することで、私たちは至福感に満たされた「永遠の今」を生きることができるようになります。
逆説的な言い方になりますが、その意味で「結果を求める」という思考を手放すことで、私たちは、今、この瞬間に、限りない豊かさの源と永遠の至福の中に生きることができるようになります。
ポイント2:
第二のポイントは、私たちが左脳で、論理的、科学的だと思い込んできた常識が、実は、真理から外れた思い込みであることが間々あるというトリックに気づくことです。「左脳思考」のワナから自由になることです。
左脳は、とても面白い役割を演じてくれていると思います。つまり、自身のもつ思考の力を、左脳自身が否定するという役割を演じてくれているのです。つまり、「思考が現実化する」なんてオカルトめいたことを信じるのはやめて、もっと現実的になりなさいと主張するのです。
「過去に経験してきた、そして先祖が残してくれた失敗と困難から学んで、論理的、科学的に未来に備えることが唯一の成功法則だと」私たちは長い間、誤った常識に捉われて生きてきました。時間軸という幻想の中では、たしかにそれは事実でした。しかし、最早私たちは、そうした束縛から解放されて、永遠の今の中に生きる自由を獲得したのです!
以上、2回にわたって書いてきた『「思うように結果が出ない!?」~ 実例の紹介とアドバイス』はひとまず完結します。
- 生兵法は大怪我の基とは?:「生兵法は大怪我のもと」は、中途半端な知識や技術(生兵法)を頼りにすると、かえって大きな失敗(大怪我)を招くという戒め(いましめ)のことわざで、江戸時代の狂歌集『吾吟我集(ごぎんわかしゅう』や『清水物語(きよみずものがたり)』などに登場する句が由来とされている。特に『吾吟我集』の「なま兵法、犬にかまるる傷のもと」という句が有名で、浅い知識で行動することの危険性を説いている。 ↩︎
参考文献:
『成功法則は科学的に証明できるのか?』奥健夫(総合法令出版)
『「おめでたい人」の思考は現実化する』和田秀樹(小学館新書)