私は2025年8月まで、東証プライム市場に上場する企業の人事部で障がい者チームの管理運営に関わっていました。
私が関わっていた障がい者チームでメンバーたちと思い出話をしていたときのことです。私が関わっていたチームでは、朝礼や研修の場などで「より良く生きるためのヒント」など、心の安定やメンバーの精神的な成長を促す話を時々してきました。ある日私が「一日100回感謝してごらん!」という提案をメンバーにした(らしい)のです・・・私自身は忘れていたのですが。そうしたところ、メンバーのひとり、リーダー格のYがそれを素直に実践してくれた。
大人社会では、そうした話はなかなか受け入れてもらえない、ましてや実践にまでは至らないものですが、つらい経験を多くしてきた障害を持つメンバーたちには、そうした話を、それこそ乾いた砂に水が染み込むように聞き入れてもらえることが多く、それは私自身にとっても幸せなことでした。彼・彼女たちのそうした素直さには「人間性が高いなぁ!」と、敬服すら感じていました。
感謝を続けたら周りで良いことが
さて、「一日100回の感謝」を愚直に実行してくれたYの体験談に戻ります。
感謝の対象は、毎日の通勤で利用しているバスの運転手さんだったり、キレイに晴れ渡った澄んだ空だったり、道端に咲いている名前も知らない小さな花だったり・・・そうした、ややもすると見過ごしてしまうような日常の平凡な出来事なのですが、毎日100回の感謝を続けているうちに、気がつくと、意識して感謝の対象を探すということが習慣になっていて、次第に、感謝の対象が自然と目に飛び込んでくるようになったらしいのです。そうすると、感謝の対象が増えたばかりか、自分の周りで良いことがたくさん起きるようになったとのこと。
感謝のエネルギーは思考の現実化を加速させる力を持つ
感謝というエネルギーが、幸せや成功の実現に強く作用する力を持っていることは、先人覚者が口をそろえて言うところです。それは、ポジティブな感情とともに、現実を変える力を持つプラス思考や、プラスイメージを加速させる原動力になるものでもあります。
上述したYの体験にもあるように、平素、ありがとう!という言葉を多く使ったり、意識して感謝の対象を探すという習慣を続けていると、不思議なことに幸運や人に恵まれることが増え、その相乗効果で、小さなことにも感謝できるようになり、些細なことにも心を動かされ、思わず涙がこぼれるといった体験をするようにもなります。それは、何より私自身が平素体験していることでもあります。
感謝の励行は師・中村天風も説いているところです。また、先日、ある覚醒した外国人の方のお話を聞く機会があったのですが、その方が、「感謝の習慣は、宇宙のポジティブなエネルギーの通路を広げる」とおっしゃっていたことが印象的でした。当然のことながら、感謝の実践の大切さは万国共通なのだとあらためて思い至りました。
ぜひ、感謝の習慣を意識して続けてみてください。早ければその日のうちに効果が現れることもあります。思考や感情が現実を変える力を持つということが実感できると、その働きが加速され、ますます強くなっていくことが実感できるはずです。